伊賀の長い伝統を踏まえ、親子二代にわたる作家活動は、阪神百貨店や、京王デパートでの発表を軸に50年以上も続いています。この一事をもってしても坂本先生父子の力量、愛好者の層の厚さが推察できるかと思います。父・瀧山先生は昨年他界されました。その遺作展も兼ねての今回の展覧会です。 世界の陶芸の中で、日本の陶芸は最も高いレベルにあります。これは作家を支える展覧会が画廊やデパートなどで盛んに行われることと、鑑賞者の目の厳しさとが相まって、陶芸の発展にとって理想的な環境を作っているからだと思われます。 伊賀の土は磁器に匹敵する高温に耐えうる強さを持つことで知られています。その強い土がわび・さびの原点となる沓型を生み出し、茶陶の分野でも伊賀は揺るぎない位置を占めています。 一家に一点、風格のある使い心地のいい伊賀をお楽しみください。
増賀睦朗
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